コース12品 全容(シェフによる解説)

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「パテドロワイヤル 有田のテロワール」
クレマン・デュ・ジュラ・フィリップ・ミシェル2014

DINING HACK ARITA 東京や福岡からのゲスト集合場所は、幸楽窯の展示室でした。
ここで、シェフが出迎えアペリティフの時間です。

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フランスから取り寄せたアンティークのテリーヌ型を使いました。
ライトなおつまみ系も考えたのですが、ゲストの方を良い意味で裏切りたいと思い、本来ならコースの中の一品にもなる「パテドロワイヤル」をアミューズにしました。
この日使う食材のみで作りました。
皆様の到着を待ち、切り分けました。
「プロッシモジョルジョ」さんのコッテリとしたクレマン(泡)と深みのある味わいのマリアージュで。


「DINING HACK ARITA」は、水野健児シェフによるすべて有田近辺の生産者さんを訪ね吟味した食材を使い、食材研究と調理方法も試作を重ねた全12品のコース料理。

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「有田 山の湧き水」

 

有田の老舗の鯉料理の龍水亭さんの敷地内にある、「山の湧き水」からスタートです。
幸楽窯 五代目徳永隆信さんと初めてお話をさせていただきた際に、「日本人は食事の際に器に直接口が触れる。その事を意識して器を作る」という旨の内容に感銘を受けました。
また、今回のコンセプトを表す一皿として、有田の、水・火・土から構成される最初の「料理」です。

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「牛乳の可能性。『蘇』のチップと数日熟成させたババロア、
カボチャの種と塩の結晶。」

シャンパーニュ
「バロン・ド・ロスチャイルド」

この地域には酪農家さんが多いと考えていました。
実状は、廃業されている所が多く酪農家さんを見つけることが叶いませんでした。
そこであえてこちらの料理を。牛乳は佐賀の酪農家「中江 秀夫」さんよりご提供頂きました。
私達料理人は、食材の新しい可能性を探り、価値を高めるという使命もあります。
「牛乳の可能性」と名付けられたこちらの料理は、牛乳のあまり知られていない可能性を探った一皿です。
平安時代から作られていた、日本古来のチーズ「蘇」を自分なりの解釈で作りました。
それを薄く延ばして乾燥させた、牛乳だけで作るチップ。
同じ牛乳を、適温で加熱して3日間熟成させました。
「力武舜一郎」さんのカボチャの種を添えて。

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「酸味を効かせたありたどりのレバーペースト、プチベールの甘みと香り。」

「清酒宗政 純米吟醸−15度の生酒」

山間部で野菜を作る「幸松」さんからお話を伺いました。
平野部よりも手間がかかる分、より価値のある野菜を育てる必要がある、とのことでした。
プチベールを一枚ずつ時間をかけて低温乾燥させ、甘みと香りを凝縮させました。それを酸味を効かせた「ありたどり」のレバーペーストの周りにまとわせました。

清酒宗政 純米吟醸−15度の生酒という、かなり甘口のお酒を合わせました。レバーの風味とプチベールの香りとのマリアージュを。

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「ありたぶたの生ハムとサラミ、グリーントマトとイチジク、花のサラダ」

「清酒宗政 ひやおろし原酒 生詰」

脂の甘みが強いありたぶたを、サラミと生ハムに加工しました。
幸松さんの固く酸味の強いグリーントマトや、一度ローストしたイチジク、ソースは特別純米酒 山田錦 多々楽 にごり酒を煮詰め、黒にんにくを合わせたものを。
甘みの強い花をあしらいました。
複雑味のあるひやおろしとサラミとハムの熟成香を合わせました。

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「発酵させた干し柿風味のバターと、パプリカ天然酵母の黒米パン」

あまみの強い「アースマインド伊万里」さんのパプリカで2週間かけて酵母を起こしました。
佐賀産の小麦粉や全粒粉、そして「幸松さん」の黒米を練り込んで焼きました。
バターは、「中江」さんの牛乳から3日掛けて発酵バターを作り、干し柿を合わせました。

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「規格外卵を使った究極のスクランブルエッグ」

ワイン
「ピノ・ブラン・レイヨン・ド・ルネ 2015 」

障害者も健常者も差別なく一緒に過ごせる保育園を運営していた「池田さん」の卵です。
卵アレルギーの子供に安全な卵を食べてもらおうと、鶏を飼い始めたそうです。
自然の餌のみで育てられた卵は、とても美味しくアレルギーの子供も食べることが出来たと。
今回は規格外の卵を使いました。鶏の骨のみから出汁をとり、卵に合わせました。
凝固温度まで、ゆっくりゆっくりかき混ぜます。
どの卵も分け隔てなく一つのボウルに入れ、親である鶏の愛情を少し加え、見守りながら作る。
池田さんの想いを私なりに解釈し、ひとつの料理にしました。

ワインは、「プロッシモジョルジョ」さんがこの料理に合わせました。
樽香の無い、コッテリとした旨味の強いものです。卵の濃い味わいととてもよく合いました。

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「抹茶に見立てたニラのスープ、豚足と里芋のテリーヌ」


「清酒宗政 大吟醸」

「力武」さんのニラをエキスにし、コンソメを少し加えました。
提供直前に茶筅で泡立て抹茶風に。泡で口当たりをまろやかにしました。
お茶請け風に盛り付けた、ありたぶたの豚足と「力武」さんの里芋のテリーヌを一口食べていただき、その後ニラのスープを飲むと口の中で料理が完成します。

ぬる燗にした大吟醸のふっくらとした味とのマリアージュを意識しました。

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「鯉白子のロワイヤル、鯉の出汁とその身のコンフィ」


「清酒宗政 純米大吟醸 」

今回のメニューで1番悩んだのが魚料理でした。
色々調べていると、「鯉」が有名な事が分かりました。
今回は「龍水亭」さんの鯉を使わせて頂きました。
白子と身を合わせ池田さんの卵と鯉の骨からとった出汁を合わせてロワイヤルに。
上には、焼いた白子・卵・頰肉を。

ぬる燗にした純米大吟醸は、鯉の味を更に引き立たせました。

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「熟成させたありたどり胸肉のロースト、凝縮したキノコの旨味」

ワイン
「キュベ・テラッセ 2014 」

旨味の強いありたどりの丸鶏を4日間乾燥させ、表面に熱した油をかけパリパリに。
ローストして、表面に唐津産のゴマを。
ソースは、乾燥させたしいたけと鶏の出汁、牛乳で作りました。
下には「力武」さんのレタスを敷いています。

グルナッシュ主体のワインは、ソースのコクと胸肉の旨味とのマリアージュを意識しました。

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「猪の長時間低温調理、香草の灰」

ワイン
「G. Milazzo Maria Costanza Rosso」

罠にかかった猪に自ら育てた野菜を3日程食べさせて臭みを抜き、心臓外科医に習った血抜きの方法を用いて処理をするという猟師「田中さん」。
今回はその猪を、61度で10時間真空加熱をしました。
柔らかくジューシーに仕上がりったその肉に、骨からとった出汁をベースにしたソース、タイムの灰、桜の燻煙をまとわせました。

甘みの強いシチリアのワインとのマリアージュを。

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「パプリカのマカロン」
「安納芋のタルト、大豆のプラリネ」
「紅茶のギモウブ 紫」

甘みの強いパプリカには一切の味をつけずにクリーム状にして、マカロンにしました。
シンプルに味付けした安納芋(幸松さん)のタルトには、大豆(力武さん)のプラリネを。
「横田さん」がつくる紅茶のをそのまま練り込んだギモウブは、茶の枝に刺して。

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